愚問自答「ジョブ型論議のモヤモヤはどこからくるか?」
すみません。久々の投稿です。
(シリーズ化しようと①とか②とか付けて全然続けてない『投げっぱなしジャーマン記事』がいくつかありますが、いずれ続きを書きます…)
さて、「ジョブ型」という言葉は20年前くらいからあったと記憶してますが、ここ1年で大手企業が導入するぞ!と表明したことで、様々な論考・議論が飛び交っているようです。
「日本企業にとってのジョブ型」「ジョブ型時代のキャリア形成」などの頭のいい話は専門家の方にお任せしますが、僕はどの記事を読んでも何だかモヤモヤとした気持ちになります。
ただの思い過ごしの可能性もありますが、ちょうど良き愚問を見つけたため、少ししたためてみます。
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僕のモヤモヤはジョブ型の是非そのものでなく、もっと手前にある、気持ちの問題です。
1.人それぞれスタンスがある
世間の記事や僕周辺のジョブ型への意見を整理すると、以下のように『スタンス』の違いが見えてきました。
それぞれ簡単に紹介します。
❶旧型マッチョ(自分のスキルに自信がある×ジョブ型に反対)
・オールドスタイルの気合・根性・努力で成果をあげてきた。
・理想と現実の間で、何だかんだでオールドスタイルは普遍的と思っている。
・自分の成功法に基づく成果創出と後進育成を最後の奉公と思っており、仕組みを変えられると不都合。「余計なことをしてくれるな」
❷クラウド(自分のスキルに自信がある×どちらでもよい)
・転職・異動など環境変化での困難を克服してきた。
・環境が変わっても自分はどうとでも生きていけるという自負がある。
・周囲のジョブ型への適用には無関心。「興味ないね」(つまり「クラウド」はコンピューティングの方ではなく、FFⅦの方です)
❸新型マッチョ(自分のスキルに自信がある×ジョブ型に賛成)
・外資やコンサル(またはその掛け合わせ)や、グローバルプロジェクトなどの経験者でジョブ型経験があり、生き抜いてきた。
・ジョブ型の合理的な側面に慣れ、自然に思っている。
・ジョブ型導入に積極賛成。「ようやく日本も合理的になってきた」
❹窮鼠(自分のスキルに自信がない×ジョブ型に反対)
・現状でもなかなか成果を出せず、悩んでいる。
・ジョブ型が入ると自分の居場所がなくなると不安に思っている。
・ジョブ型導入を過去の成果主義導入と同類と捉えている。「黒船はこないでほしい」
❺捨て鉢(自分のスキルに自信がない×どちらでもよい)
・成果は高くはないが、低くもない。
・仕事の出来不出来とは別次元で、人生における仕事のウェイトが高くはない。
・仕事と成果に対して世捨て人のように達観している。「ホント、どっちでもいいわ」
❻他己優先(自分のスキルに自信がない×ジョブ型に賛成)
・実際の成果の高低にかかわらず、努力はしているが漠然と自分のスキルに自信がない。
・日本型人事慣行に閉塞感を抱いており、ジョブ型になることで優秀な人が活躍できるようになると思っている。
・自分は努力するとして、それよりもジョブ型によって組織が活性化することを望む。「これでうちの会社がよくなるといいんだけど」
2.「自分事」に終始し「他人事」への視点が少ない
上記の6つのスタイルのうち、他者を配慮したうえでジョブ型の是非を考えているのは❻他己優先のみになります。
そして、ここに僕のモヤモヤがあるのです。
ジョブ型が入る/入らないに限らず、1つの組織の中には❶~❻のそれぞれの人がいます(もちろん組織によって配分は異なる)。
それなのに、変化の兆しが生じた際に自分事の基準だけで善し悪しを判断する発言がジョブ型論議では多いな、とモヤモヤしています。
自分事を超えた他人事への言及が少ないのではないかと思います。
そこに人間の悲しみを感じているのでしょう。
3.スキルのある人が他者のためにスキルを使うことがカギ
ジョブ型が導入・普及される場合(正直、広まるのかは僕にはわかりません)、キーとなるのが❷クラウドだと思います。
このタイプが自分事を超えて他者へ関心を持ち、❻他己優先と協力すれば、❻他己優先にとって強い味方になりますし、❷クラウドも平和的な組織の成長という観点で、視座が高まるでしょう。
❷クラウドの持つ困難の克服ノウハウを、❻他己優先が組織的に展開することで、皆がジョブで必要なスキルセット獲得・成果達成をできるようにすることが、本質的に必要なことと思います。
そのような相互協力的なスタイルがあれば、ジョブ型の良い面が作用すると、ワクワクしてきます。
(ここまで書いて、そういえばFFⅦはクラウドが過去を乗り越えて、自分以外の何かのために戦うようになる壮大な人間ドラマだったことを思い出しました)
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危機や変化に直面した時に『地』が出るとは言いますが、出てくる『地』があまりに自分事ばかりなことが僕のモヤモヤの原因なのでしょう。
結論:
蓄積したスキルは自分が生き抜くためだけに使うのでなく、皆の不安を取り除くためにも使う。