愚問自答「お金で時間を買う、は正しいのか?」
20代のとき、一定以上の役職者やコンサル業の人と移動する際、彼ら彼女らが颯爽とタクシーに乗る姿がカッコ良く見えたものでした。
曰く、彼ら彼女らは時給が高いため、電車でノロノロ移動するなら、ギリギリまでオフィスで働き、タクシーでパッと移動した方がコスパが良いという理屈でした。
ハングリー精神旺盛だった当時は「ナルホド、そんなもんかね」と納得していましたが、ナイスミドルになるとこの理屈が疑問に思えてきたため、愚問自答してみます。
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設備等投資・改良により作業時間を短縮し生産性を上げる…というのは製造業では常套手段です。
(僕も製造業で工場勤務時代に改善提案なんぞを書いてみたものです)
ただ、これが成立するには2つの要素が必要と思いました。
1.浮いた時間が生産に直結する
2.生産がキャッシュインに直結する
それぞれ考察してみます。
1.浮いた時間が生産に直結する
先ほどのタクシー移動の場合はこれを前提としています。
ただ、これが成立する環境というのはかなり限定的ではないのかな?と思うのが正直なところです。
例えば工場の場合は分かりやすく、1回あたりの作業時間が短くなると、単位時間の生産量が増えますね。
かたや、デスクワークではどうでしょうか?
伝票処理のように量と単位時間に基づくものならば近いかもしれません。
ただ、冒頭で書いた役職者やコンサル業の方々は伝票処理が本務ではないですね。彼ら彼女らの仕事は「考えること」です。
そして「考えること」は投入時間とは比例関係にはないことが多いです(ゆえに管理監督者や裁量労働者のように時間管理の緩和対象)。
この場合、浮いた時間が生産に直結しているとは限らないと思われます。
※そう考えると生産性という言葉がProductivityとされるのも納得です。
2.生産がキャッシュインに直結する
案外、見落としがちなのがこの要素です。
工場の場合、納品によるキャッシュインが見えやすいので、生産とキャッシュインは直結するものと考えます。
一方、企業で「時給の高い人の時間を無駄にしてはいけない」という話はよく聞き、一見当然そうですが、短縮した時間がキャッシュインに結びつかないと意味のない理屈ですね。
しかも時間短縮にタクシー等の費用を投じている場合はより一層キャッシュを生まないと意味がないわけです。
では役職者やコンサル業の方々の仕事がキャッシュインにつながるか、というと怪しいですね。
完全人工投入型で、稼働時間に対して支払いがあるなら成立します。
ただ、おそらく冒頭の役職者やコンサル業の方々は違いますね(コンサル会社によっては人工投入型もあるから微妙かな、、そもそもそれってコンサル業か?)。
この方々の仕事のアウトプットは様々で、生産物とキャッシュインのつながりは実はなかったりします。
(プロジェクトの最終納品物が6ページくらいのパワポということもあります。無論、その6ページが秀逸なのですが)
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実はこの愚問は仕事というより家事から連想されたことで、先日、同じものを300円安く買うために隣町のホームセンターまで行ったことがきっかけです。
たまに「10円安いネギを求めて隣町のスーパーに行くなんて…」と揶揄されてますが、僕なら休日は特にやることないから10円安くなるなら隣町くらいなら行くけどな…と思い、それを正当化させる理屈として、キャッシュインあたりを考えました。
(単に僕が暇でケチなだけで、周りには強要してません、一応…)
結論:
一駅くらいなら歩きましょう。