愚問自答「どうすれば組織は変わるのか?」
古今東西、組織変革というのは関心の高いテーマのようです。
僕の記憶によれば(間違えてたらゴメンなさい)、組織変革は1980年代にJ.P.コッターが、その理論と実践を提唱したあたりで日本でも注目されたと認識しています※。
その後、センゲが「最強組織の法則」を上梓したり、BCGが「チェンジモンスター」という概念を出したりと、プラクティスが積み上がっています。
日本でも1990年代に出たスコラの柴田氏の「なぜ会社は変われないのか」や、2008年に旧現ワトソン・ワイアットメンバーらが著した「不機嫌な職場」が非常に有名になりました。(「不機嫌な職場」はリアルタイムで買ったので年を覚えています)
※いわゆる組織開発(OD)は確かDECが走りのため1960年代くらいに広まったという認識ですが、恐らく組織変革と組織開発で当時の米国企業事情も異なるため、両者を区別し、ここでは組織変革のお話です。
前置きが長くなりましたが、兎にも角にも、猫も杓子も「組織を変える」ということに関心があるようなので、
本日の愚問自答は「どうすれば組織は変わるのか?」とします。
この愚問のアプローチとして、
1.組織構成員を替える
と、
2.人(の考え方や動き方)を変える
を分けて考えてみます。
1.組織構成員を替える
ものすごくシンプルな方法として、「人そのものを入れ替える」があります。
要は構成員を替えれば、組織も変わる、という方法です。
これは一定の効果があります。特にヘッドが替われば組織全体にも影響を与えます。
定期的なローテーション異動を講ずるポイントの1つでもありますね。
他方、この方法はあくまで物理的な入れ替えのため、吉とも凶ともなり得ます。
とりあえず「変わるには変わるが、良くなるかはわからん」という状態です。
また、意外に「人を替えても組織は変わらない」ということもあります。
これぞ日本企業の最大なる発明でもあるメンバーシップ型組織運営の効用で、平たく言えば共同体の維持のために似た者/和を乱さない者ばかり採用した結果、社内異動で誰をすげても金太郎飴みたいで何も変わらない、ということも起こり得ます。
このこと自体は安定的なオペレーションを運行する上では絶大に機能するのですが、「組織を変えたい」ときには逆効果です。
また、メンバーシップ型運営は異質な者の静かなる排除という、とんでもない副作用まであり、基本的に組織変革と大変相性が悪いです。
ジョブ型的な組織運営であれば、ジョブそのものが変われば構成員も変わるというのは当たり前のため、
「トランスフォーメーション」
という表現でオーソドックスな手法となされます。
(最近の日本企業でもトランスフォーメーションは流行っていますが、大抵はリストラクチャリングの言い換えか、よくわからない箱だけ作って兼務員をぶち込む、という、"なんちゃってトランスフォーメーション"が目につきます)
いずれにしても「人を替えて組織を変える」というアプローチは、外科的処方であり、一種の賭けですね。
相当、ジョブディスクリプションが精緻でないと機能せず、日本企業はそれが苦手なのであまり馴染まないかもしれません。
2.人(の考え方や動き方)を変える
結局は、一人ひとりの意識・行動変革が大事だ!
ということで、人の考え方や動き方を変えるというのも有力なアプローチです。
この方法は丁寧にやると、非常に前向きに組織風土が変わり、一人ひとりが新しいことにチャレンジするため、長く良く効きます。
他方、人が人を変えるというのは大変な苦労があります。
「これまでの自分から変わる必要がある=今のままの自分ではダメ」
と捉えかねないため、反発も生じかなません。
具体的手法としては、研修、評価面談、360度、1on1、コーチング、システムコーチング、インフォーマルコミュニティ、インクルージョンミーティング、個別の叱咤激励…など、星の数ほどありますが、リードする人の手腕がモロに出ます。
一言で言えば「講師次第」。
この手の手法では「お前にだけは言われたくない」という雰囲気になったらおしまいです。
(それゆえに外部講師/コンサルが有効なのです)
ただ、このアプローチは丁寧にやると、いわば漢方薬のようにジワジワ効いて、とても効果的ですし、僕の周囲の外部講師/コンサルの方々がしっかり成果をあげている様子を見ると、日本企業にはこのアプローチが有効なのかなと思います。
結論:組織を変えること自体はできそう。方法としては外科的/漢方薬的アプローチがあり、漢方薬的アプローチの方が日本企業には合っていると思う。