日々是、徒然に愚問自答

生来の小心者なのか、単に暇なのか、、、、日々悶々と悩みや疑問が浮かびます。しかしながらその大半は取るに足らないことで、人様の貴重なお知恵と時間を拝借するのもはばかれます。そのため、自ら産んだ愚問には自ら答えて始末をつけようという試みです。通勤電車等でご賞味くださいませ。

愚問自答「優秀なコーポレートスタッフとは?」

友人との会話の中で、コーポレートスタッフ(要は本社機能の担当者)のキャリアの話題になりました。

今まで身近過ぎてあまり意識していませんでしたが、持論の整理がてら改めて愚問自答します。

というわけで今回は「優秀なコーポレートスタッフとは?」です。

※本社機能でピンとこなかったら、人事、法務、総務、経理、財務、広報をイメージくださいませ。

 

僕自身、製造業のコーポレートスタッフ出身(いわゆるHRBP)であり、他社の友人もナイスミドルになり本社機能を担うことが多くなってきました。

そのような中、「優秀だと思った人」「実際出世した人」を見るといくつかの共通点が見えてきました。

 

1.ほどほどに"そもそも論"を使う

2.細かな作業も一通りできる

3.自分の中の余裕を周囲にシェアする

 

それぞれ見ていきましょう。

※ちなみに1〜3はカッツモデルでいうところで、コンセプチュアル、テクニカル、ヒューマンに該当します、一応。

 

1.ほどほどに"そもそも論"を使う

 

コーポレートスタッフはライン(事業部門)に対するエージェントであり、コンサルタント的な位置付けにあります。

そのため、一歩引いて専門知識や客観性から導かれる解を提供することが大事です。

一方であまり"そもそも論"に固執すると、誰得な感じになってしまいます。

 

要は、ラインが

「いま自分がすべきなのはAかBか?」

と聞いているのに対して、

「いや、本質的にはCかDですね。でもそれが実現するには現行法制度では難しいかな…」

等と回答したら往復ビンタを喰らうと思います。

 

優秀なコーポレートスタッフの場合、ラインの意見を元に会社としての全体最適を勘案し、

「〇〇さんの置かれている状況によると思いますが、A'が良いと思います」

と回答しているように思いました。

このとき、前提条件の整理程度の"そもそも論"を使いつつ、相手意見をベースに'(ダッシュ)をつけるのがポイント。

実際、優秀なコーポレートスタッフの方と話をすると8割くらいがこの論法です。

 

ちなみに、先ほど「往復ビンタを喰らう」と言った「原論に遡りCやDを回答しちゃう人」ですが、コンサルタントとしてはそういった素養も大事と思います。(もちろんCやDを敢えて口に出す必要はありませんが、)あまり前提に縛られすぎない立ち場だからこそ、客観的で専門的な見地からMECEに考えることが出来て、初めてコンサルタントの存在意義があると思います。

 

 

2.細かな作業も一通りできる

 

基本的に本社機能はコストセンターのため、必要最小限の人数を配置しています。

そのため、「いざというとき」に手が動く人が重宝されます。

例えば、

・社内通達文書を一から作って、判子リレーまでできる

・帳簿が正しいかのチェックを現物確認までできる

・同僚の作りかけのエクセルシートを引き継いで、ついでにエラーチェックもできる

くらいは、いつでも出来る心の準備と練習が必要です。

 

こういうと大抵の人は「昔やってたからいざとなれば出来る」と言い張りますが、個人的な目見当ではホントにできるのは10%くらいでしょうかね(往々に、過去の自分を美化してることが多い)。

 

細部まで出来るには小まめな情報アップデートが必要で、それを怠らない人が優秀なコーポレートスタッフになっているようです。

コーポレート業務自体、士業的なものが多いため、やっぱり士業持っていると強いですね。

 

 

3.自分の中の余裕を周囲にシェアする

 

これ、最も大事です。

1と2くらいまでは、コーポレートに配置される人なら元々有してる素養がありますが、最後はヒューマンスキルのため、かなり人によってバラつきがあります。

翻すと、3が出来てないからイマイチ大成しない場合を多くみます。

 

真に優秀な人は、自分の余ったキャパシティをもとに、周囲の人を手伝ったり、気遣いをしたり、相談に乗ったり…と、余裕のお裾分けをします。

逆にイマイチな人は「俺/私は優秀だから余裕」という素振りを見せてしまいます。

特にコーポレート業務の場合、知識と整理力の違いで業務時間に20倍くらいの差が出ることもあります。

「知ってれば30分で終わるけど、知らなかったら丸一日かかる…」なんてことはザラです。

このとき、キャパシティの余裕さのベクトルを自分に向けるか、周囲に向けるかが決定的な差と思いました。

 

僕としては、コーポレートスタッフになる時点でかなり優秀な人だと思いますが、その中で更に活躍できればキャリアの機会も豊かになる(要は転職しやすい)ため、該当する方はご参考ください。

 

結論(余談):

こう書くと、いわゆる"エリート官僚"とほぼ一致しますね。

よく「大企業本社は官僚的組織」とは言いますが、むしろ官僚のコンピテンシーそのものです。

大企業の優秀なコーポレートスタッフも、中央官庁のエリート官僚も、たまたま就職先の違いであって、能力的には同じくらい優秀と思います。