愚問自答「どうすればアナロジさんの話を理解できるか?」
古今東西、アナロジー(類推。粗く言うなら"例え話")がよく使われます。
今年なんぞは恐らく「ラグビー日本代表に学ぶ ○○力」というタイトルの本が書店に並ぶでしょう。大いに結構。
アナロジー自体は物事を身近なものに置き換えるため、聞き手が理解する上で有効な方法と思います。
また、説明者も自分の好きなもので例えるため、話していて楽しいでしょうね。
ただ、たまにアナロジーだけで説明し、
「どうだ。上手いこと言うだろう」
とドヤッとする人を見かけると、お腹の中心あたりから沸々と嫌〜な気分が込み上がってきます。
こういう人、オジサンに多いと思っていましたが、よくよく観察すると老若男女に均しく存在したため、せっかくなので
「アナロジさん」
と呼ぶことにしました。
ちなみにアナロジーは僕自身もたまに使います。よってアナロジー自体をディスる気はないです。
本稿で言うアナロジさんは「説明の中の例え話の割合が大きいわりに結局何言ってるのか分からない」「ドヤッとする」という特徴がある方々、ということにしましょう。
アナロジさんは熱が入った説明をしてくださるのですが、聞いていて
「???」
となることも多く、「どうすればアナロジさんの話を理解できるか?」という愚問自答をしてみます。
※ちなみに純粋な趣味の話であればアナロジーではないため、それはそれでフラットに愉しんで聴きます。
------------
僕の観察によればアナロジさんにもいくつか流派があり、代表的には「歴史・偉人派」「スポーツ派」「漫画派」と言ったところでしょうか。
【歴史・偉人派】は、江戸〜幕末あたりの情勢・暮らしぶり、人物でいえば坂本龍馬、織田信長、武田信玄、上杉謙信…、最近は渋沢栄一あたりに引き出しがあります。
【スポーツ派】は、ダントツでサッカー。おそらくこれからラグビー勢が増えそう。
【漫画派】は、なんと言ってもワンピース。逆を言えば、ワンピース以外で漫画がアナロジーに使われることが少ない…!
いずれもそのテーマの話だけ聴けば
「へぇーそうなんだ」
と興味深いものです。
実際、僕も好んで見聞きする内容もあります。
せっかくいい話をしてくださるのですが、アナログさんの残念なのは、
1.何のアナロジーになっているのかよく分からない
2.話が大き過ぎて自分事に落とし込みにくい
という点です。
【1.何のアナロジーになっているのかよく分からない】
例えば武士道について話されても、
「いや、僕、武士じゃないし」
と直観的に思ってしまいます。
誠意の話なのか、リーダーシップの話なのか、フォロワーシップの話なのか、ビジョンの話なのか…。
ビジネススキルやコンピテンシーに噛み砕くだけで、「あぁー、そういうことを言いたかったのね」と理解が進みます。
このあたり上手い人は、例えばサッカーを、
「選手間のチームマネジメントを機能させる上での習慣」
「監督と選手のコミュニケーション」
みたいなレベルで示唆だしをしており、そういう話として聴くと
「なるほどぉー」
と、学びが深いです。
思うに、アナロジーの対象となるビジネス領域についても造詣が深い人はアナロジーも上手いと思いました。
そういうわけで
「この人、さっきから熱く語ってるけど、結局何を言いたいんだろう?」
というアナロジさんには、相槌がてら
「はぁ〜。そうですか。それはまさにリーダーですね」
と適当に単語を出して、こちらから落とし所を用意してあげましょう。
僕的にこの行為を【相手の話にタグを付ける】と言います。
こうした方がアナロジさんの話も収斂されて面白味が増します。
【2.話が大き過ぎて自分事に落とし込みにくい】
これもなかなか悩ましいのですが、偉人・強豪チーム・海賊王あたりの話を聴いても、
「ほほぅ…それはそれは…」
くらいしか相槌打てないんですよね。
僕、今から筋トレしたり大志を抱く気もないので。
つまり、
「そりゃ、その人は凄いんだろうけど、それを聴かされた僕にどうすれと?」
という話なのです。
ただ、それをそのまま言うと、あまりに話の腰を折り過ぎですね。
コツは「パンピー(一般ピープル)レベルに落とし込む」ことにあります。
つまり、アナロジさん自身の体験を聴くと、いきなり話がパンピーレベルに具体化されるし、アナロジさん自身の工夫も聴けるため参考になります。
聴き方としては、
「ほほぅ、そのことが○○さんに影響を与えたのですね」
という感じがマイルドと思います。
(「○○さんは実際どういうことを実践したんですか?」だとアナロジさんが非行動派の場合、気まずくなります。「影響」なら行動でも心がけでも使えるためアナロジさんにとっても応えやすいですね)
この行為を僕的には【相手の経験ストーリー化】と言います。
------------
僕的にアナロジさんは「落ちがない=話がツマラン人」と言ってしまえばそれまでですが、それではアナロジさんの知識が勿体ないです。
とはいえ、ひたすら相手のツマラン話を聴くのは耐え難いため、自分なりの解釈・ネタ集めのために【タグ付け】【経験ストーリー化】としての2〜3パターンの相槌を用意すると人生が豊かになると思いました。
結論:
せっかくなのでアナロジさんを重宝しよう!