愚問自答「無駄な仕事なんてあるのか?」
ニュースで「意味のない仕事」という言葉を見かけ、「そんな捉え方をするものなのね…」と、ナイスミドルはちょっと悲しい気分になりました。
元ネタ1↓
「意味のないクソ仕事」をする人ほど給料が高い・・・この大いなる矛盾
元ネタ2↓
「意味のないクソ仕事」をしてる風な人に、高い給料が払われる理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200124-00069930-gendaibiz-bus_all
そんなわけで今回は「無駄な仕事なんてあるのか?」を愚問自答してみます。
※上記文章への反論でなく、それはそれとして持論を語ります。
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会社勤めを十何年もすると、「これって無駄では?」という気持ちになることもあります。
中には1年目からそう考える意識高い人もいるでしょう。
古今東西、仕事の無駄取りはよく言われていますが、最近では以下の要素が「無駄な仕事排除論」を強くしていると思います。
・終身雇用崩壊→リストラが進むのでは?という雰囲気
・RPA・AIなどの技術の登場
・「働かないおじさん」という言葉の広まり
このような論を注意深く読むと
「無駄な仕事が存在する」
という前提が暗黙にあるのですね。
このような「何となくの常識」に一石投じるため、以下の観点で考えてみます。
1.ツールの不便さ
2.工程の不要さ
3.属人的な無駄
【1.ツールの不便さ】
よく言われる話に「ハンコ不要論」があります。
これは「急いでいるときに上司が不在で決裁が滞る」というイライラが背景にあるのですが、大事なのは「ハンコというツール」が物理的な制約を受けていることであり、「承認という工程」は普遍的に存在するということです。
ちなみに10年ほど前に外資にいたときはハンコはなかったですが「サイン」が必要で、本質的には何にも違いはなかったです。
システムでポチれば承認可能にすることで場所の制約は解消されますが、いずれにしても「上司にPCやタブレット開いてもらう」という手間は変わらず、時間制約はそれほど変わらないのではないかと思います。
また、僕自身はIT活用称賛派ではありますが、未だに資料の最終チェックは印刷して行うというアナログな部分もあります。(なぜか印刷すると誤脱字を発見しやすい)
このように「ツールの代替/排除」と「その仕事が無駄か」は、実際のところあまり関係ないと思います。
【2.工程の不要さ】
次は「ある業務そのものが無駄か?」という話です。
よく言われるのは管理部門や本部機能と呼ばれるものです。「コストセンター」という言葉があるくらいですからね。
ただ、これには「分業」というカラクリがあります。
一人ひとりが専門特化して習熟すると生産性が高まる…という前提で、業務範囲ごとに組織化すると「機能組織」が出来ます。組織類型の基本はこれです。
※より大きな組織になると「事業部組織」が出来たりします。(詳しくはチャンドラー先生をご参照)
「あの部署、一円も稼がないのに色々とルールを言ってきて…」
と思う場面もあるかもしれませんが、それは「"たまたま"所属している部署」の違いであり、「部署の仕事の不要さ」とは別です。
ちなみに一時期、組織論に身を置いた経験から言えば、「リソースの合理化」のために部署を統廃合したりはしますが、一部の工程自体がゴッソリとなくなることはほぼ無いです。
会社間で売却などもありますが、その場合、買い手にとっては意味のある事業部や機能組織なわけなので、これまた工程自体の不要さではありません。
このように「ある工程が無駄に見える」のと「工程自体が無駄か」は、別問題です。
【3.属人的な無駄】
最後に「あの人…いらない!」という場合です。
このケースでは年配者(働かないおじさん)や若手(使えない新人)が槍玉にあがるわけですが、これは仕事というより当人のスキルや態度への不満です。
ちなみに経験から言えますが、同じ仕事をしている人でもコミュニケーションが心地よいか否かで随分と印象が変わるものです。
このように、気持ちは分からなくもないですが、「個性や相性」の話と「仕事の無駄さ」の話は分けた方が良いです。
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こう考えると、ツール×工程×属人性の全てを加味しても「この仕事は無駄だ!」というものは、そうそう存在しないのでは?と思います。
結論:
無駄な仕事は、はなから「仕事」にならない。よって「仕事」である限り無駄ではない。