日々是、徒然に愚問自答

生来の小心者なのか、単に暇なのか、、、、日々悶々と悩みや疑問が浮かびます。しかしながらその大半は取るに足らないことで、人様の貴重なお知恵と時間を拝借するのもはばかれます。そのため、自ら産んだ愚問には自ら答えて始末をつけようという試みです。通勤電車等でご賞味くださいませ。

愚問自答「中学受験と就活 〜なぜ手段が目的化するのか?」

季節柄、中学受験に関する記事をネットで目にすることが多いです。

 

我が家にも小学生の子どもがいるため関心深く何本か読んだところ、

「これ、就活と一緒じゃん!」

と思ったため、

「なぜ手段が目的化するのか?」

というテーマで愚問自答をしてみます。

 

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中学受験については色々な方が色々なことを書いていますが、その中で

「本来、小学生が勉強すること自体は素晴らしいことなのだが、中学受験になると勉強というより点を取るテクニック習得になっている」

といった内容の文章があり、ナルホド!と膝を打ちました。

 

これって、就活も一緒で

「本来は社会において自分にフィットする居場所探しが目的のはずなのに、内定をもらうという手段が目的化している」

と思いました。

 

更には受験も就活も

「志望のところに受からなかった→自分が否定された気持ちになる→自信喪失」

という構図になっています。

 

「うーむ、我が子がそうなったらとても不憫だ!」

と思ったため、この「手段が目的化する」要因を以下の観点で考えてみます。

 

1.年齢による制約が強い

2.自分への理解が深まる前に始まってしまう

3.偏差値が是になっている

 

 

【1.年齢による制約が強い】

日本での話です。

基本的に「卒業したら間をおかずに次へ」という仕組みになっています。

 

「とりあえず1年くらい保留」ということがなかなか難しい社会の仕組みになっています。

小学校→中学校は義務教育だから仕方ない気もしますが、期限が確実に決まっているというのは何だか窮屈ですね。

 

期限が決まることで大衆心理が働き、

「誰それが受験勉強/就活始めたようだから自分もそろそろ…」

と、本当は大してその気になっていないのに周囲に同調して自分もやらねばいかん!と思ってしまうのは怖いですね。

 

特に東京圏、大阪圏で顕著です。

 

人が多く、企業も学校も多いからなのでしょうが、幼少期を北海道で過ごした僕としては中学受験をする人の方が珍しいですし、就活も(僕は東京にいましたが)地方の方が3か月〜半年遅れくらいで始めていたような気がします。

 

 

【2.自分への理解が深まる前に始まってしまう】

上記1にも関連しますが、中学受験も就活も「期限ありき」のため、なんだかよく分からないうちから始まります。

 

その中で、受験生/就活生は学校選びや企業選びに真っ先に取り組むのですが、本当は「自分はどういう人間なのか?」ということをしっかり考えてから取り組むことが大事と思います。

 

学校選びだと、「A中学は生徒の自主性を重んじた自由な校風」と聞くとなんだか万人にとって良さそうな気がしますが、「自由過ぎても面倒」と思う人もいると思います。

(僕がまさにそういうタイプで、適度に制約がある方が落ち着くのです)

 

これは企業も同じで「上下関係のないフラットな組織」と聞くと軽やかな印象を受けますが、「上司からやたらフラットにこられても困る…」という感覚の人もいるはず。

(これまた僕がそういうタイプで、文化的であれば=体育会系でなければ上下関係がある方が落ち着くのです)

 

志望先がどういうところか?を知るのも大事ですが、「自分にとって合うか?」については学校/企業選びの倍以上の時間をかけて熟考した方が良いと思います。

 

ところが、この「自分への理解」というのが難しいです。

「経験して初めて知る自分の意外な側面」というのはナイスミドルになってからもよくあることです。

むしろ10代で分かっていることの方が珍しいのではないでしょうか。

つまり、10代は自分そのものを形成する時期であり、その段階で自分に合う/合わない…という観点では選びにくいのです。

そのため、学校や企業側の発信する情報をプレーンに受け取って判断しがちになるという構造と思います。

 

かく言う僕自身、就活では金融とメーカでギリギリまで迷って「内部が平和そう」と言う理由でメーカに行きましたが、これが大正解でした。

基本、競争が嫌いなため金融機関は全く合わないことを社会人になってから気づいたものです。

(その後、なぜかコンサル業界というジャングルに行ってしまい、大変苦労しましたが…)

 

【3.偏差値が是になっている】

困ったことに、入試にも就職にも偏差値があります。

(就職偏差値という概念は僕の就活時代のちょっと後くらいから出ました)

 

そして悲しいかな、「とりあえず偏差値が高いところに行こう」となります。

 

以下は一時期、就活生へアドバイスをしていたときに僕が言っていたことです。

(会社を学校に置き換えれば、概ね中学受験にも当てはまると思います)

 

・外銀、コンサル、商社、マスコミに受かって自慢して喜んでいられるのは内定〜卒業までのせいぜい半年強。

・入社しちゃえば周りは同じ会社の社員だから(当たり前ですね)、自慢なんぞする相手もいない。

・むしろ偏差値が高い業界は周りも優秀かつ社内競争も厳しいから、その中で長続きするのは頭の良さとは別物。

・総じて20代の給料は高いが、40代で他業種に追いつかれるようになっている。

 

こういう構図を理解せず偏差値だけで入ると「こんなはずでは…」と思うわけです。

 

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こう考えると、自分の志向が固まる早い年齢で、一律のタイムリミットが定められている中で、偏差値を頼りに進めるから、

「まずは受かるためにテクニックに走ろう」

という心理になるかと思いました。

 

結論:受験や就活はゴールではない!