愚問自答「適性と不適性の差は何か?」
先日、プライベートの会話の中で「採用で不適格な人を見分けるにはどうすればよいか?」という話題になりました。
僕自身の経験として、
a.適性がある(と思う人)を合格にするように面接をする
ということはあっても、
b.不適格な人を不合格にするように面接をする
ことはなかったため、思わず答えに窮しました。
このaとb、一緒のようで一緒ではないと思い、今回愚問自答してみます。
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自答するにあたっての前提ですが、僕は採用に関しては以下のように考えています。
・仕事の適性は求人先の業務内容との『相性』であって『優秀さ』ではない
・採用合否には求人数・タイミングが大きく影響するため『適性はあっても合格にならない』ということもある
というわけで、以降『適性』『不適性』という言葉を多用しますが、それで何かの優劣を指すわけではない旨、ご承知おきくださいませ。
さて、先ほどのa(適性→合格)とb(不適性→不合格)は似て非なるものと思ったポイントとして、以下があります。
1.適性はポテンシャル込みで判断する
2.入ってからの定着込みで判断する
【1.適性はポテンシャル込みで判断する】
面接をするとき『伸びしろ』を意識することはあっても『堕ちしろ』を意識するこたはないかと思います。
(堕ちしろという言葉があること自体、いま調べて初めて知りました)
このことをもう少し深掘りしてみると、適性というのは将来の可能性、ポテンシャルを含みで判断し、不適性というのは現時点でのマイナスで判断する…ということだと思いました。
前提で書いたとおり、適性は相性に近いもののため、究極的には『一緒に働かないと分からない』ものです。
仕事に必要な知識・経験・実績に加え、社風や人間関係も含めて
「2億パーセントうちにピッタリ!」
ということはそうそうないため、ある程度は
「入社したあとにサポート/ケアするから採用しよう」
という感じと思います。
若い求職者ほどこの傾向は高いです。
一方、面接という短い時間で
「こ、これはいかん…」
と不適性に思うのは、例えば
「へへへ。アッシはどうも手クセが悪くてね」
という犯罪の匂いがする場合で(かなり極端ですが)、適性と不適性では判断する基準が全然違うと思いました。
つまり、
・適性は相対的であり時間軸が長いもの
・不適性は絶対的であり(公序良俗レベル)時間軸が短いもの
と考えられます。
で、実務の面では同じ職場で同時に300人とかを超大量採用する場合を除くと、基本的には選抜して採用するわけで、不適性ばかり見ても選べないことになります。
(そう考えると集団就職の時代の採用プロセスというのが実際どうだったのかは大変興味深いテーマです)
【2.入ってからの定着込みで判断する】
短期のプロジェクトメンバーアサインでもない限り、基本的には企業側・求職者側ともに『数年間は働くもの』という前提で採用すると思います。
(正確には短期プロジェクトのアサインは業務委託するでしょうから採用とは別の話)
長い付き合いを前提にするならば、お互いに前向きな気持ちで採用をしたいものですよね。
僕自身、何回か転職していますが、やはり
「自分の良いところを認めてくれた」
と思えるところに行きたいと思いますし、採用面接での企業側の態度というのは何年経っても覚えているものです。
その意味では、不適性を判断するにはハイパー圧迫面接をすると効率的でしょうが、そんな会社には行きたくないのが求職者としての本音と思います。
(僕自身、新卒時代に「面接官が怖かったから」という理由で辞退したことがあります。多分、辞退せずともメンタル弱い僕は不合格だったと思いますが…)
そう考えると、結果的に同じ人を合格とした場合も、判断基準が適性と不適性ではお互いの印象は大きく異なると思います。
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徒然に考えてみましたが、可能なら明るい面に焦点をあて、適性による採否判断をしたいものです。
ただ、世の中には『不適性検査』というものもあるため、そう簡単な話でもないのだろうな、と思いました。
なぜ不適性を抽出する必要があるか…というのは現代の深い事情が絡んでそうなので関心がありますが、難しそうなのでそれはまた別途。
あとは海外の採用試験でいわゆる性格適性みたいなものをしているのかは大変興味深いです。
結論:
日本企業は長期雇用かつ人間関係にウェイトが占める採用スタイルをするため適性ベースなのかもしれないですね。